●人生を変えるキッカケコトバ●
前沢しんじ 2021年2月19日(金) 〔第1431号〕
『母子詩情』
●ここ数日、列島は寒波に覆われて、
僕の住む南紀州でも、雪がちらつく。
市街地では積もることはないが、
次女の住む山間部では銀世界に
変わることもある。
そーだった。
1月15日に「昭和の子」という
テーマで書いた次女の住むところ。
あの時は、その長男が朝一面に
霜が降りた銀世界を登校する風景が、
まるで僕の小さいころの
昭和の時代の風景に見えたのだった。
●次女にはふたりの息子がいる。
今回書くのは次男坊のこと。
母の小さい頃に似て
次男坊はよく熱を出す。
風邪をひくと39度以上の高熱が
あたりまえのように出る。
その日も9度5分まで上がって
幼稚園を休み、小児科へ行った帰り
我が家へ立ち寄ったのだった。
子供とは不思議なもので、
熱冷ましをのんだらすぐ元気になる。
最近趣味の将棋を(渋い)
妻(祖母)と2局指して、
お菓子を食って帰っていった。
あくる日は幼稚園の
何やらのイベントで
どうしても行きたかったらしい。
しかし当日の朝、
7度5分という微妙な熱で
どうするか母が迷ったのち、
やはり休むことにしたらしい。
そんなラインがきたので、
「なんか違う楽しみで埋め合わせ
したってくれよ」と返信したら、
「すごくめんどくさいけど、
本気でお店やさんごっこをするよ」と。
どうやら次男が行きたがっていた
理由はそういうイベントが
あったかららしい。
●2時間くらいあとに画像が送られてきた。
本物と見まごうばかりの、
紙で作った、ハンバーガーショップの
さまざまな商品が並べられていた。
その中に場違いな肉まんがあった。
「えー、これも紙製か?」と
返信したら、
「あー、これは昼めし」と。
どうやら模擬ハンバーガーショップで
豚まん!を食いながら遊んだという。
●外は雪。
家の中で遊ぶ母子。
●僕の脳裏に、その母子のシーンが
鮮やかに映し出されてきた。
やがて成長してそんな風景は
忘れ去られるのだろうが、
将来、ある雪の日に、
次男坊の胸に、
ふとその時のことが。
そういえば母さんと。
風邪を引いて休んだ日、
ハンバーガーを紙で
つくったよなあ。
そうだ。雪の日だったよ・・・
ムサシは
そんなことを思うだろうか。
僕はすかさず返信した。
「Kちゃんよ、この時代は宝物やで。
きっとムサシの原風景のひとつとして
かけがえのない思い出になる。
今を楽しめよ」。
一時間ほどしてラインが来た。
「あー、大量のごみを処分したよ!」
なんじゃーい!
せっかくの詩情あふれるシーンが、
ゴミ箱行きかー!
ま、うちらしいといえば
うちらしい。
でも、
いい時を過ごしたことは間違いない。
それだけでいい。
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